守山   Moriyama Ongaku Renmei  

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♪オペラ
 第1回オペラ公演 2011/2.27 守山市民ホール 小ホール 開演13:30~
  ~ごあいさつ~  理事長 笠原たか
本日ここに、若い方々の音楽に対する熱い思いが長い準備期間を経て、皆様方の前で新企画として、オペレッタ”こうもり”という巨大な
課題に挑戦することとなりました。振り返ってみれば守山音楽連盟を立ち上げて早11年目。このような形で徐々に人の輪が広がり、善意
の方々に支えられて、次の世代へと引き継がれていこうとしている理念《点を線で結ぶ》が正に具現化されていることに感動を覚えます。
その心意気をご理解いただきまして、本日の大作”こうもり”を存分にお楽しみください。そして、もし気に入りいただけましたらならば、こ
の会の更なる発展につながっていただけますよう、皆様の応援をよろしくお願い申し上げます。
連盟の趣旨にご賛同、ご協力くださいました萩原 次己先生はじめ、ソリスト、指揮者、バレエの方々に心より御礼申し上げます。


総合制作・演出 萩原 次己 
まず初めに守山音楽連盟の皆様に対してこの記念すべき初オペラ公演の日を迎えられましたことを、心よりお慶び申し上げます。ちょうど1年前、総合演出という大役を任せられ、声楽家としての経験しかない私にとって大変なプレッシャーでしたが、連盟の方々の献身的働きとキャストに恵まれたことで、大きな問題もなく本日を迎えることができました。今回のオペレッタ「こうもり」は作曲がヨハン・シュトラウスということもあり、音楽は大変聴きやすく、また、言葉も日本語ですので、オペラに対して敷居の高さを感じておられる皆様にも、気軽に楽しんでいただける作品です。キャストと合唱、そしてスタッフが一丸となって本日の公演に向けて奮闘して参りました。必ずや皆様には、満足していただける公演になると信じております。最後になりましたが、守山音楽連盟の今後の益々のご発展ご活躍とをお祈りして、私の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。
   


 第2回オペラ公演 2012/12.27 守山市民ホール 小ホール 開演18:30~
   ~ごあいさつ~ 
みなさんこんにち。
本日は、守山音楽連盟主催のオペレッタ「こうもり」公演にお越しいただきまして誠にありがとうございます。はじめに昨年引き続き今年もこのようにオペレッタ公演の幕を上げられる運びとなりましたのは、本日お越しいただいた皆様を始め、この公演の趣旨に賛同し、ボランティアのような条件で出演してくださった歌い手の皆さん、そして守山市民ホールさん、その他にも沢山の方々の惜しみない協力があったからこそと感謝しております。
守山音楽連盟は、このオペレッタ「こうもり」を大事に育てていき、皆様に「毎年12月は守山のこうもり」だと言ってもらえるよう頑張って続けて行きたいと思っていますので、温かく見守っていただければ幸いです。
さて、オペラとオペレッタの違いって、なんなのでしょうか?日本語にするとオペラは『歌劇』、オペレッタは『喜歌劇』となりますが、要するにオペレッタはヨーロッパの吉本新喜劇だとお考えいただければ分かりやすいと思います。
今回で2回目となるオペレッタ「こうもり」は音楽はもちろんのこと笑いの質にこだわり、昨年にもまして皆様に楽しんでいただけるよう趣向を凝らしております。
また、キャスト陣も昨年の公演で好評をいただいたロザリンデ役の高木ひとみさん、アイゼンシュタイン役の秋本靖仁さんをはじめ、その他数名の方が今年も引き続き出演されます。そして今回はなんと「びわ湖ホール声楽アンサンブル」の若手男性陣が出演してくれます。その有り余るパワーできっと元気いっぱい暴れまわってくれるでしょう。
それではヴァージョンアップした新たな「こうもり」の開演です。どうぞごゆっくりお楽しみください。
   
 
 第3回オペラ公演 2013/12.22 守山市民ホール 小ホール 開演13:30~
   ~ごあいさつ~ 
皆様、本日は大変お忙しい中、守山音楽連盟のオペレッタにお越しくださいまして誠にありがとうございます。連盟理事長の「守山のこの地にオペラを!」
かけ声とともに始まったオペレッタ「こうもり」公演も、早いもので今年で3回目を迎えます。資金不足に悩まされながらも、本日お越しいただいた皆様をはじめ、この公演にご理解を示していただいた方々からの温かい支援に助けられ、今年も幕を上げられますことを心から感謝申し上げます。
さて、今回の「こうもり」もいろいろと趣向を凝らしております。楽しいお芝居としてご覧いただけるよう、キャストの台詞回しを大幅に変更し、その上で音楽を最大限活かせるよう、伴奏にはピアノ、フルート、ヴァイオリン、そしてチェロを加えてのアンサンブルで盛り上げます。
進化した「こうもり」を皆様の目で耳で、そして体全体で感じてください。それでは、まもなく幕が上がります。どうぞ楽しいひと時をお過ごしください。

演出・指揮 萩原 次己
Purofile
滋賀県立石山高等学校音楽家を経て、京都市立芸術大学大学院を大学院市長賞を得て修了。86年フランス音楽コンクールにおいてフランス総領事賞受賞。97年平和堂財団芸術家奨励賞受賞。。98年日本音楽コンクール第3位入賞ほか多数受賞。これまで、著名なピアニストやオーケストラと共演する他、「第九」や「オラトリオ」「メサイア」「レクイエム」など合唱作品のソリストを数多く務める。また、モーツアルトの四大オペラをはじめ、「カルメン」「セビリアの理髪師」「ボエーム」「賢い女」ほか、多くのオペラに出演する。
現在、京都女子大学、同志社女子大学、京都市立芸術大学の各非常勤講師。関西二期会正会員、守山音楽連盟会員。

   
   
  第4回オペラ公演 2014/9.23 守山市民ホール 小ホール 開演14:00~ 
  ~ごあいさつ~
本日は守山音楽連盟主催第四回オペラ公演にお越し下さいまして誠にありがとうございます。毎年一回切りの公演ですが、皆様のおかげをもちましてやっと軌道に乗ってまいりました。過去3回続けて上演致しましたオペレッタ「こうもり」は皆様に大変好評でしたが、今年はオペラ「カルメン」へと演目を変えての上演です。現在、全世界で最も公演回数の多い演目ですので、オペラの内容は知らなくても、「あつ!この曲知ってる!」と聞き覚えのある音楽が必ずあるはずです。
舞台では、キャストと合唱メンバーが力を合わせ、妖艶で 自由なジプシーの世界を創り上げます。そして、それを支えるアンサンブルは、打楽器奏者の越川雅之氏をお迎えし、小編成ながら力強い音楽をお届けします。また、今回の公演で使用する衣装や小道具などは、多くのボランティアの方々のお力添えを持ちまして準備できました。この場を借りて御礼申し上げます。
自由奔放に生きてきたカルメン。しかしホセとの出会いが二人の人生を狂わせてしまいます。
カルメンは本当にホセに殺されたのか!
それでは、間も無くの開演まで今しばらくお待ちください。
総監督・指揮 萩原 次己
Purofile
バリトン。京都市立芸術大学音楽学部及び同大学院を大学院賞を得て修了。86年フランス音楽コンクールにおいてフランス総領事賞受賞。95年友愛ドイツ・リートコンクール第1位、併せて最優秀賞及び文部大臣奨励賞受賞。98年日本音楽コンクール第3位入賞。第7回J.S.G.国際歌曲コンクール入選。平成15年度大阪文化祭奨励賞受賞。これまで、著名なピアニストやオーケストラと共演する他、「第九」や「オラトリオ」「レクイエム」など合唱作品のソリストを務める。また、オペラでは、モーツアルトの4大オペラをはじめ、バロックから近代まで幅広いオペラに出演。
現在、京都女子大学、同志社女子大学、京都市立芸術大学の各講師。関西二期会正会員。
   
   
  第5回オペラ公演 2015/12.20 守山市民ホール 小ホール 開演14:00~ 
  ~ごあいさつ~
”本当にやりますか?””はい、やります。”オペラの上演がどんなに大変か知っていますか?””はい、覚悟しています。”この言葉を聞いた時の感動は今でも熱く胸の中に沸き起こってきます。守山音楽連盟が発足してちょうど10年目のことでした。参加する皆が公平に舞台に立てるようにと心を砕いた10年でした。しかしこのオペラの上演をきっかけに適材適所の正当性を皆が理解し、受け入れ、納得してくださいました。それはひとえに、可能な限り良いものを生み出そうという思いから、ご自身の大切な多くの時間を割いてオペラに取り組む、萩原総合プロデューサーの熱意があったからにほかなりません。また彼の人柄に惹かれて遠方でありながら、また練習の回数が多いオペラという厄介なものでありながら、超一流の方々がソリストとして全力で取り組んで下さったことは感謝の念に耐えません。-それがやむをえずほぼボランティアであったにもかかわらず-。
萩原様やソリストの方々のひたむきな姿が皆をまとめ上げこれまでの3回のオペレッタ”こうもり”とカルメンの大成功、そして今日の”夕鶴”に導いてきました。それが萩原様の熱意のみに留まらず、回を重ねるごとに偉大な能力に導かれていることに気づく幸せも味わいました。そして大切なことは連盟の皆様が日のあたる、当たらないに拘らず、平等の感覚で愛情を持ってこのオペラを支えた事なしにはこのような総合芸術は実現しなかったことです。市民ホールのスタッフそして製作に関わられた全ての方に”ありがとう!”と申し上げたいです。
オペラを上演することにより連盟の皆様はお互いを理解し思いやるということを身に着けられたように思います。連盟の理念である”点を線で結ぶ”ということが正に実現されたわけです。その連携は波紋を産み、多くの方々とつながり、その力をお借りすることで面にまで広がり、そしてなによりも良き友を得たことで個々人がご自分の専門分野に更に励まれるようになり立体的な深さを築くようになってきたように感じています。点が面となり今は立体として対応できるまでにそだってきているということです。このオペラで育まれた能力が守山のみに留まらず広く様々な場所でお役に立てることを願ってやみません。これからも応援とご協力の程よろしくお願い申し上げます。  守山音楽連盟 理事長 笠原 たか

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古来より語り継がれる鶴の恩返し。人間の本質と言える「欲」を教訓として戒め、優しさや思いやり、慈しむ気持ちを教えられた気がします。テロや残虐な事件など、痛ましい事件が相次ぐ昨今、本当に大切なものとは何か、私たちは改めて考え直さなければいけないのかもしれません。本日の「うたしばい 夕鶴」は今年を締めくくるに相応しい公演になると、キャスト、奏者、公演に関わる全てのスタッフが自負しております。それでは日本古来より受け継がれてきた物語の世界を、美しい旋律とともにお楽しみください。
総監督 萩原 次己
Purofile
守山音楽連盟オペラ部門の総監督として今年5回目の公演を迎える。オペラ公演に際して、これまでの声楽家としての経験をもとに、演出及び指揮を務めており、この守山の地にオペラが根付くよう、分かりやすく、聴きやすく、そしてなにより楽しめる公演を目指して取り組んでいる。
京都市立芸術大学音楽学部及び同大学院を大学院賞を得て修了。コンクール入賞や文部大臣奨励賞、大阪文化祭奨励賞、その他多数受賞。
現在、同志社女子大学、京都市立芸術大学各講師。関西二期会正会員。
   
   
   第6回オペラ公演 2016/7.17 守山市民ホール 小ホール 開演14:00~
   ~ごあいさつ~
ひとつの夢が芽を出し成長し理想の形に整い落ち着くまでには最低10年の月日が必要だと常々感じています。守山音楽連盟のオペラは今年で6年目、6作目となり10年を目安と考えた時、折り返し点を過ぎました。製作にあたられました皆様は大きな夢を持ちつつも、現実である現場は苦難に満ちたものだったと想像されます。しかしその苦難を乗り越え前に進む強さと努力と、そしてなによりも大切なお互いを思いやる優しさがあったからこそ6作目を迎えることができたと信じています。
総合芸術であるオペラ作りは多くの分野の方々の手助けが必要であり、又精神的な支えも大きな励ましとなります。どうか同じ夢を共有していただきまして
、10年目を迎えることができますようこれからも皆々様の応援を宜しくお願い申し上げます。
本日はご来場くださいましてありがとうございました。   笠原 たか


演出ノート
オペラの台本は、戯曲、小説、童話など様々なものを元に作られますが、その際に作曲者の意図や、その時代に受け入れられる内容になるよう、いろいろ手が加えられます。今回上演のオペラ「ヘンゼルとグレーテル」の台本も、グリム童話集に収録されている原作より、かなり甘口な内容に変更されています。特に、物語の進行に重要な役割を果たす母親については大きな変更が加えられています。オペラの中では、母親に叱られたヘンゼルとグレーテルは森に苺を採りに行くという設定ですが、原作では当時流行った飢餓の口減らしとして、子供は母親によって森に捨てられるのです。そして、原作では死んでしまう非情な母親も、オペラでは子供の事を心配する(一般的な)母親となっています。オペラを演出する時、この母親をどのような女性として登場させるかによって、物語の印象が大きく変わってきます。オペラの台本では一般的な女性として描かれている母親すが、原作で描かれている非情な母親像を色濃く残すために、途中で出てくる魔女と母親を同一人物が演じる事があります。これは、子供を殺そうとする魔女は、実は母親の化身だったということなのです。他にもさまざまな演出がなされていますが、今回私がこのオペラを演出するにあたって、まず優先したのは子供たちが楽しめる内容にすることでした。
そのためには、原作の一切をオペラに持ち込まないことを念頭に置き、台本と音楽から感じ取ったものを大切にして作り上げました。物語を左右する母親は、どこの家庭でもそうである少し小言の多い母親に、そして魔女と妖精、そして父親についても、物語を進めるヘンゼルとグレーテルの二人にスポットが当たるように徹底して演出しました。
このオペラは、その名のとおり「ヘンゼルとグレーテル」という兄妹が主役なのです。子供たちの、子供たちによる、子供たちのためのオペラなのです!どうぞお楽しみにください。    萩原 次己
   
   
   第7回オペラ公演 2017/7.17 守山市民ホール 小ホール 開演14:00~
  ~ごあいさつ~
欧米ではオペラは大切な社交の場ともなっています。普段出会えない人たちとオペラという総合芸術を介して出会い、まるでオペラをお酒のつまみのように、歌手、演出、衣装等などの批評を出し合ったり、お互いの感想を述べあったり、感動を共有したりするのです。ですので開場も早く休み時間もゆったりとしていて、ビュッフェや飲み物のサービスがあります。そこで存分に非日常を上質に過ごすのであります。守山音楽連盟のオペラも7回目を迎え、まだビュッフェや飲み物のサービスはありませんが、少しそのような雰囲気が出てきたように感じています。毎年お友達を誘いあってこられる方、オペラだけは見逃しませんと日程をチェックされる方、ご出演のファンの方々が遠方からたくさん来られることも増えてきました。もう守山の中だけに納まらず、広く関西一円に広まりつつあるのかも知れません。皆様がそれぞれの感性で様々な切り口から今回の魔笛を楽しんでいただけるまするならば最高の喜びであります。
 スタッフ一同1年以上の準備期間を設けて全て手作りで最高を目指して改善に改善を重ね、また練習に練習を重ねてまいりました。今日の日のためにご尽力くださいましたすべての方々にこの場を借りまして厚くお礼もうしあげます。また、道半ばの10周年まであと数年あります。オペラ一回の上演には図りしえないエネルギーがいります。どうか引き続き皆様の温かいご支援を宜しくお願い申し上げます。 笠原 たか


演出ノート
このオペラは、モーツアルトが死の直前(1791年)に完成させた作品です。歌と台詞が交互にでてくる事から「歌芝居」と呼ばれていましたが、現在では一般的にオペラに分類されます。当時モーツアルトがフリーメイソンのメンバーだったことから、作品の各所に会のシンボル(3)が使われているのも有名です。
内容には、太古から続く男女の考え方の違いや、物事の捉え方の違いから生まれる諍いや不和が根底にあり、そこから理想的な男女の役割と関係を示唆しています。登場するザラストロと夜の女王は、まさに男と女の象徴であり、お互いを理解し合えぬ関係です。そんな中で、王女バミーナと森で育ったパパゲーノが歌う二重奏にこそ、男女がお互いに理解し合った理想的な関係があり、それはモーツアルトが音楽によって伝えようとしてきた愛と平等なのです。
しかし、だからと言って、このオペラを現実社会のものとしてとらえてしまうと非常に生々しく、逆に味気ないものになってしまいます。そこで、今回はあえてファンタジーとして捉えてみました。不思議の国に迷い込み、たくさんの出会いによって成長する王子タミーノ。不思議の国の住民らは、現実社会に存在する人間の様々な心の代表者なのです。清らかな心を持った王女パミーナ、しかし、その母親はこの世を支配する欲に心を奪われ、森で育ったパパゲーノは美味しい食べ物に目がなく、ただひたすら伴侶を探し求めています。そして自分の身の上を嘆き、その腹いせを他人に求めるモノスタトス、善良なザラストロは徳高き思想をストイックに追い求めます。そして、このオペラを語る上で音楽を外すことはできません。対立する夜の女王とザラストロは、このオペラの中での最高音と最低音を歌い、夜の女王の2つのアリアは至難なコロラトゥーラの技巧を要求される難曲として有名です。また、このオペラの中でモーツアルトが特に親しみを持ったパパゲーノに、大変魅力的で親しみやすい音楽が与えられているのも興味深い事です。
 ファンタジーな世界と、モーツアルトの軽快な音楽が織りなす楽しいオペラをご堪能ください。    萩原 次己
   
   
   第8回オペラ公演 2018/9.15・9.16 守山市民ホール 小ホール 開演14:00~
  ~ごあいさつ~
守山音楽連盟も来年20周年をむかえることとなりました。この間地道な皆様方の活動があり、守山のみならず、遠方のかたがたにも連盟の存在を知っていただけるようにもなってまいりました。点と点を結んで線にする。と言う基本理念のもとに具体的には、演奏したい、演奏に参りますと言う音楽の需要と供給、そして常に学び続ける姿勢を保つという理念を貫いてきた結果でもあると実感する事であります。
 正にこの大きな理念に加えての3つの基本的方針をしっかりと守って下さり、連盟皆様の士気を牽引してくれたのが今回で8回目になるオペラであります。総合芸術であるが故の苦労、努力、知恵を絞らなければならないこともあり、完成に辿り着くまでの努力は想像を絶するものがあります。それだけに見応えもあり、製作する立場の者たちの達成感もある訳です。資金が入場券のみであると言う条件でありながら、本物の素晴らしいモーツアルトの作品を皆様に見ていただきたいの一心でこの公演の総合プロデュースをお引き受けくださいました萩原次己さんに感謝を申し上げると同時に、表舞台に出られておられる方ばかりでなく、舞台裏で作品をしっかり支えてくださっている多くの方々の力も皆様方の脳裏に想像していただき鑑賞していただければ嬉しいことです。
 この公演を1回目より温かい眼差しで仕事の域を超えて精神的に応援くださるホールのスタッフの皆様方にもこの場を借りまして感謝申し上げます。
 今日のフィガロの結婚が皆様方の非日常の忘れがたいひと時となりますよう、一つでも心の片隅に残る何かがあります事を祈り、願っております。
 お忙しい中のご来場ありがとうございました。 笠原 たか

演出ノート
「フィガロの結婚」は、原作ボーマルシェ、台本ロレンツォ・ダ・ポンテ、そしてモーツァルトによって作曲されたオペラ。
 原作は、中世ヨーロッパの貴族社会を痛烈に批判した内容であり、何度も上演禁止に遭っている。そのままオペラ化するのは危険すぎると判断したダ・ポンテとモーツアルトは、台本製作の際に貴族批判をおおむね薄めた内容に書き換え、1786年ウイーンでの初演はある程度の好評を得た。しかし、それでも内容を危険視する向きがあり、劇場は早々に違う演目に差し替えざるを得なかった。
 オペラには大きく分けて、オペラ・セリアとオペラ・ブッフアの2つがある。
 セリアが王侯や貴族のために作られた贅沢な娯楽であったのに対して、ブッフアは市民的で身近な問題を取り上げたものである。
「フィガロの結婚」はオペラ・ブッフアであることから、市民(貴族に対しての平民)目線で話が進んでいく。話の最後には、貴族である伯爵が平民の前で膝まづくという、痛快でありながら当時ではありえない展開となっている。
 日本で言うところの、悪代官を水戸黄門様が成敗するという勧善懲悪の世界に通ずるものがあるが、これは身分の高きものをより身分の高きものが罰する形である。
 「フィガロの結婚」は身分の高きものが身分の低きものに屈するオペラ。神聖皇帝ヨーゼフ2世のお膝元ウィーンで、なぜこのオペラが上演できたのか不思議である。しかし、お国柄や時代は違えども人間の思考というものはそう変わりはなく、それゆえ中世ヨーロッパのオペラが現代の日本でも上演され続けている所以なのであろう。   萩原 次己
   
   
   第9回 ラ・ボエーム プッチーニ作曲 2019/9/21・22
   本日のご来場ありがおりがとうございます。皆様に支えられて続けて参りましたオペラも今年で9回目を迎えることになりました。壮大なオペラをやりましょう、と思い立った時偶然にも萩原次己氏にお出会いしオペラプロジェクトをお引き受けいただいたことが幸運のはじまりでした。氏の豊富な舞台経験から裏打ちされた作品作りにはお客様のみならず、出演者の皆様をも惹きつける魅力があります。氏のエネルギー、熱意に引き寄せられる様に裏方も含めて渾身の力が注がれてこのオペラが完成へ導かれました。氏あってのオペラも9回もの歴史を重ねることにより、守山でのオペラの歴史が今や守山に留まらず県内外までにも知られる様になりましたことは喜びにたえません。オペラの継続にはいろんな意味で困難が伴います。それを乗り越えるためにどうかこれからも更なるご支援、応援をよろしくお長いいたします。
 この紙面を借りまして一年に渡り、きめ細やかなご協力を賜りました市民ホールの皆様に深く御礼申し上げます。
                                       守山音楽連盟理事長 笠原 たか

演出ノート
プッチーニの音楽は、文句なしに美しく楽しい。そして、ドラマがある。もし、オペラの公演中に歌手の声が出なくなったとしよう。演技を続けてさえいればオーケストラの音楽だけで舞台は何とか成立してしまうと思う。言い過ぎかもしれないが、それくらいオーケストラにドラマを聴かせる音楽を与えている。そこに、個性溢れる歌い手の美しく豊かな声が重なると、聴衆は自然と舞台に引き込まれてしまう。プッチーニのオペラに触れるとき、指揮者、演出家、キャスト、そして聴衆、すべての人はその音楽に身を委ねるだけで良い。何も足さず、何も引かず、そこにある音楽がすべてなのです。
今回は、演出で改めて何かを表現しようとはせず、プッチーニの音楽が求めているドラマを読み解き、音楽にピタリと寄り添うような動きや演技を追求しました。
 それでは、プッチーニの音楽にどっぷりと頭の先まで浸ってください。幕が降りたとき、息をしていなかった事にきっと気づくはずです。
   



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